化学的接合方法とは金属素材の間に異種の接合材を入れて接合する方法です。
歴史は大変古く、石器時代に天然アスファルトを使った接着物(矢じりなど)が
あちこちで発掘されています。
接着剤は日本では身近なもので漆(うるし)やお米のデンプンを使った糊(のり)
などがなじみ深いです。
接着の定義と原理
ISO(国際標準化機構)では接着とは「接着剤を媒介とし、化学的もしくは物理的な力
またはその両者によってふたつの面が結合した状態」と定義されています。
接着の原理は「分子間力(ファン・デル・ワールス力)」 や「投錨(とうびょう)効果」
などによるものと考えられていますが、詳しくは解明されていないようです。
「分子間力(ファン・デル・ワールス力)」とは分子と分子の間に働く
電気的な引力です。
この分子間力は、物体どうしの距離が分子レベルにまで接近することで
得られる力です。
「投錨(とうびょう)効果」とは、母材表面の分子の穴に接着剤が浸透して固まることで
接着性が増す効果のことをいい、船の錨(アンカー)が海底に食い込み船体と海底をつないだ
姿に似ていることからそう呼ばれています。
「アンカー効果」や「ファスナー効果」とも呼ばれます。
接着の強度と代表的な接着剤の種類
接着における接合強度は、接合剤の強度そのものか母材と接着剤の接着力で決まります。
ここでは金属接合方法における代表的な接着剤の種類をご紹介します。
エポキシ系接着剤
- 1液性と2液性のタイプがあり接着強度・耐熱性・耐薬品性等で
多くの金属製品の接着に使われています。
嫌気性接着剤
- 1液性で空気(酸素)の遮断と金属との接触で硬化が始まり、
常温、短時間で接着します。
紫外線硬化型接着剤
- 紫外線を照射することで短時間で重合硬化する接着剤です。
瞬間接着剤
- 接着面の水分と反応して超短時間で硬化が進みます。
1液性、常温、種々の材質に接着できますが耐候性は乏しいので
注意が必要です。
弾性接着剤
- シリコンゴム系で空気中の湿気と反応し硬化します。
1液性でゴム状の弾性体なので振動衝撃を吸収し耐熱性にも優れますが
硬化に時間を要します。